個人(家族)信託の基本用語

  • 2017.5.10

個人信託(家族信託)

個人信託(家族信託)の基本用語を整理します。

個人(家族)信託のしくみは、本人(委託者)が決めた目的のために、信託契約(信託行為)により、家族や信託会社(受託者)に本人の財産(信託財産)の名義を移転します。受託者の家族・信託会社は本人又は本人が指定者(受益権者)のために、その財産の管理運用をします。管理運用の方法を指図する人(指図権者)を指定することもできます。

個人信託は資産管理運用・相続・事業承継・扶養・老後の生活・認知症の不安などを解決する方法です。本人意志により信託を設計することができます。しかし、財産を信頼できる人に託すには、本当に信頼できる人がいるのだろうか?ましてや、個人に全財産を託してしまって、その人が破産したらどうするなんて心配になりますよね。信託会社は信託財産を会社財産とは別に管理しなければなりません。また、信託会社が倒産しても信託財産は守られるしくみになっています。

信託の基本的な言葉の意味は知っておいてください。

本人(委託者):信託行為により信託をする人のことです。

家族・信託会社(受託者):信託財産の管理または処分をする人のことです。

信託財産:委託者から受託者に信託される財産です。①金銭 ②有価証券 ③土地、建物 ④金銭債権 ⑤動産 ⑥知的財産等

本人・指定者(受益者):信託の利益を受ける権利(受益権)を持つ人のことです。

信託契約:信託を委託するための契約です。遺言、公正証書等によってもできます。

信託行為:信託をする場合の方法のことです。

目 的 :資産管理、資産運用、相続対策、事業承継、子供の扶養等

指図権者:財産の管理運用の指図をする人のことです。本人でも別の人を指定してもかまいません。

受 益 権  :信託財産の引渡し、信託財産からの収益を受ける権利のことです。

 

それでは、事例に基づいて説明していきます。

田中家の事例です。長男:太郎(61歳)を中心に進めます。

母:花子(80歳)健康であるが、最近、膝の痛みを抱えており、買物もおっくうだと言いだしている。

父:源一郎は5年前に死亡、相続時に自宅(土地・建物)、貸地(30区画)、アパート(一棟)を花子が相続している。

長男:太郎(61歳)定年退職後、不動産管理の専念。

 

花子の認知症リスクを考えて、花子名義の資産管理について悩んでいた。現在は、花子が元気で、意識もしっかりしているが、将来が心配である。

花子が認知症を発生した場合に、花子名義の資産管理が困難になることを心配していた。任意後見制度の利用を勧められたが、決断ができずにいた。

本人(委託者):花子

家族(受託者):太郎

信託財産:花子名義の貸地(30区画)、アパート(一棟)

本人・指定者(受益者):花子

信託契約:花子と太郎間で信託契約を締結

信託行為:信託契約に基づき、花子名義の資産を太郎名義に移転

目 的 :資産管理、資産運用

指図権者:指定せず

受 益 権  :花子(賃貸収入は花子が受け取る)

太郎が自分の名義での契約締結等が可能であり、花子の認知症発生リスクが回避される。

 

追記

民事信託と商事信託

商事信託とは、信託会社等が受託者となる場合で、報酬が発生します。民事信託は家族が受託者になる場合で、報酬は受け取れません。

家族信託は財産管理の局面の認知症対策等には有効な手法であるといえます。

 

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